主張

放送法問題 本質見極め冷静な議論を

産経ニュース
参院内閣委で答弁する高市早苗経済安保相=9日、国会内(矢島康弘撮影)
参院内閣委で答弁する高市早苗経済安保相=9日、国会内(矢島康弘撮影)

放送法にある「政治的公平」の解釈に関する総務省の行政文書を巡り、政府と立憲民主党などの攻防が続いている。

この文書の正確性と、高市早苗経済安全保障担当相の進退ばかりに焦点が当たっているが、問題の本質を見極め、冷静に議論すべきだ。

電波は国民の公共財である。放送法第4条は放送局などに「政治的に公平であること」を求め、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めている。

この解釈について、平成27年5月、当時総務相だった高市氏は国会で「1つの番組のみでも極端な場合は政治的に公平性を確保しているとは認められない」と答弁した。政府はかねて「1つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」としていた。

文書からは、当時の礒崎陽輔首相補佐官の働きかけが読み取れたため、立民などは「報道の自由を侵害する解釈の変更だ」として撤回を求めている。これに対し、岸田文雄首相は「解釈の変更ではなく補充的な説明だ」と述べた。首相が、撤回する必要はないという考えを示したのは妥当である。

総務省は28年2月に政治的公平の解釈に関する政府統一見解を出した。この中で、選挙期間中に特定候補者のみを相当の時間にわたり取り上げる番組を放送するケースや、国論を二分するような政治課題で一方の政治的見解のみを取り上げて相当の時間放送することを、「極端な場合」として例示している。

このような場合は、1つの番組であっても、「不偏不党」というあるべき姿に鑑(かんが)みて許されないのは当たり前ではないか。

見解の作成に当たり政治的圧力はあってはならない。とはいえ、作成者が不明で、相手方に発言の確認もしていない文書を基に議論をしても、正しさが担保されていない以上、建設的ではない。報道現場の萎縮を懸念する声もあるが、ジャーナリズムはそれほど柔ではない。

高市氏はこの文書について、今では「不正確」という言い方をしている。だが当初は「捏造(ねつぞう)」という激しい表現を使い、自らの進退にも言及したため、論争は火に油を注ぐ格好となった。不正確と自信をもって言えるのなら、野党の追及に泰然としていればよい。

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