『わるい医者から命を守る65の知恵』木村盛世著(ビジネス社・1540円)
本書のタイトルにある「わるい医者」。みなさんはどんな医者を想像しますか。
本書には「過剰診療で診療報酬を稼ぐ開業医」「費用対効果を検証せず社会保障費を増大しようとする厚生労働省」「情報番組でテレビ局の要求通りに厚生労働省のプロパガンダに乗ったコメントをする『専門家』」「早期発見・早期治療の一点張りで患者側に立った治療をしない医者」「高血圧治療と称して2週間に1度通院させる医者」など、さまざまなわるい医者が登場します。こうした私利私欲にまみれた医者の悪行を暴き、木村氏がバッサバッサと斬り捨てる爽快さを感じていただければと思います。
木村氏は「がんの早期発見・治療に関しては議論の分かれるところ」と前置きしたうえで「がんを早く見つけたからといって生存確率が延びるという信頼性の高いエビデンス(科学的根拠)は得られていない」とも伝えています。
また患者が薬をすぐに出してくれる医者を求め、自ら正しい情報を得ようと動かないことがわるい医者を増長させているとも指摘しています。
よい医者の見分け方は「その医師が選択した治療が自分をハッピーにしてくれるものかどうか」とのことです。
「いつも使われるのはキツイ顔の写真だけど、今回の帯は娘たちも気に入っている笑顔の写真でうれしい」とかわいらしい一面も。「医療は人を幸せにするためにある。その重要な責務を持つのが医師」と語る、木村氏の医師としての矜持(きょうじ)を感じる一冊です。
(ビジネス社編集部 近藤碧)