春の訪れが少しずつ感じられるようになり、新年度を前に部屋の模様替えを思い立つ人が多いかもしれない。今、インテリアにちょっとした楽しみをくれる古道具が幅広い世代に人気だという。阪神梅田本店(大阪市北区)の売り場「デコデコリビング」で話題の品々を紹介してもらった。
「デコデコリビング」は同店のリニューアルに合わせて令和3年12月、7階に開設。今月1日から陳列を分かりやすく改良した。部屋に飾ってみたいと思わせる個性的な道具や雑貨が所狭しと並ぶ。
新品もあるが、売り場のポイントの一つが「古道具のある暮らし」。仕事帰りなどに気軽に立ち寄り、古道具の味わいに触れることができるとあって来店客の姿が途切れない。
つい手にとったのが、最近あまり見かけなくなったホーロー素材の器「ホーローウエア」(中心価格帯は1500~3千円)。欧州を中心に50年以上前に製造された12種類が並ぶ。植木鉢の土台にしたり、野菜や果物を入れたり、茶碗(ちゃわん)を洗う湯桶にしたり…と用途は広い。
鮮やかな色彩と、どこか異国情緒を漂わせるデザインが目を引く「マジョリカタイルの壁掛けミラー」(2万8600円など)は、インドから輸入した。バイヤーの竹歳(たけとし)めぐみさんによると、日本で大正~昭和初期に流行した多彩な色のマジョリカタイルが当時、インドに大量に輸出された後、鏡のフレームに加工されたという。よくみると富士山を思わせる日本らしいデザインが施されている。
「昔懐かしさを感じる年配の方だけでなく、交流サイト(SNS)などで情報を仕入れて昭和の生活文化にひかれる若い層にも、レトロブームが起きているようです」と竹歳さん。
また、花々を特別な日に贈るだけでなく、さりげなく部屋に飾ることで日常が楽しくなることから、色とりどりの花器もそろえた。
1950~70年代に主にドイツで制作された陶器「ファットラバ」(中心価格帯は1万2千~1万3千円)は、溶岩のようなごつごつした質感が特徴。工房ごとに独自の釉薬(ゆうやく)を使って焼いたものといい、色合いが眺めていてあきない。
竹歳さんは「古道具には一期一会の楽しみがあって、生活に取り入れたいというお客さまが増えています。部屋の空間を自分らしく飾ってほしい」と話す。(牛島要平)