NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第116話が17日、放送され、劇中で才津祥子(高畑淳子)が読んでいた、女優、沢村貞子さんの著書「私の台所」に注目が集まった。
貴司(赤楚衛二)おすすめの1冊
「舞いあがれ!」は、大阪府東大阪市と五島などを舞台に、ヒロインの梅津舞(福原遥)がさまざまな人たちと出会い、飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生の物語。この日は第24週「ばんばの歩み」(第112~116話)の最終日で、脳梗塞で左半身にしびれが残り、五島でのひとり暮らしが難しくなった舞の祖母、祥子が東大阪の舞の実家で暮らし始めた。これまで島で渡し船の仕事をして、周囲の人たちを元気づけながら、達者に自立してきた祥子だったが、仕事はおろか日々の家事すら満足にできなくなり生活が一変。意気消沈していたが、舞たち親族や東大阪の人々と触れ合ううち、少しずつ元気を取り戻していった。読書には関心がなかったが、舞の夫で詩人の貴司(赤楚衛二)が営む古書店「デラシネ」で、貴司におすすめの本を何冊か見つくろってもらい、そのうちの1冊「私の台所」を熱心に読み耽った。
沢村さんは昭和期に活躍した女優で、随筆家としても活動。代表作の「貝のうた」や、朝ドラ「おていちゃん」(1978年度前期)の原作にもなった「私の浅草」などの著書で知られる。「私の台所」は、下町育ちの沢村さんが、高齢化が進むなか、日々の暮らしを心豊かにしたいと願い、質素で昔ながらの生活の知恵を大切に一日一日を丁寧に生きた古き良き時代の暮らしぶりを描き、失われつつある風習を伝えた作品。