全国に63校(うち6校休校)ある朝鮮学校に自治体が支出した令和3年度の補助金総額は、1億8879万円で、前年度に比べ1955万円減少したことが17日、文部科学省の内部資料で判明した。文科省に資料が残る平成24年度以降で初の2億円割れだった。3年度は11道府県と89市区町が支出。朝鮮学校の運営実態を問題視した自治体による支出見直しが進み、前年度比で1億円以上減少したこともあったが、近年は減少幅が鈍化している。
平成22年に導入された国による高校授業料無償化の適用を巡り、朝鮮学校については運営実態の不透明さが指摘されるなどしたことで多くの自治体が補助金制度を停止するなどした。国が朝鮮学校を無償化の対象外とした25年度の補助金総額は前年度比約1億2千万円減。さらに文科省が支出の妥当性を検討するよう各自治体に通知を出したことで28年度は同約8千万円減となったが、ここ数年は数百万から2千万円弱の減少にとどまる。
朝鮮学校は学校教育法で「学校」と認定されておらず、都道府県が「各種学校」として認可。自治体ごとの独自制度で補助金を交付してきた。①運営費などとして学校に提供②保護者支援として家庭に提供-の2パターンがあり、制度設計・運用は自治体によって異なる。
文科省の内部資料によると、令和3年度に管内の朝鮮学校や朝鮮学校に通学する子供がいる家庭に対して補助金を支出していた自治体は、11道府県7275万円(前年度比660万円減)、89市区町1億1604万円(同1295万円減)。道府県数は前年度と同じ、市区町数は前年度から3減った。
朝鮮学校を巡っては、北朝鮮本国の影響下にあるとされる在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)により、教育基本法が禁じた「不当な支配」が続いている疑いが指摘されている。全国の自治体が平成21年度に支出した補助金は、拉致被害者の支援組織「救う会」の集計で計8億円を超えていたことが判明。さらに、高校授業料無償化を朝鮮学校にも適用するかどうかが議論になり、22年度以降、当時の石原慎太郎東京都知事と橋下徹大阪府知事が支出停止に踏み切った。
朝鮮学校
在日朝鮮人の子供に母国語による授業や民族教育を行う学校。朝鮮籍のほか、韓国籍や日本国籍の子供も通う。年代別に幼稚部・初級部・中級部・高級部・大学校があり、学校教育法では「各種学校」に位置づけられる。近年は児童・生徒数が減少し学校の統廃合が進んだほか、休校状態が続く学校もある。少子化に加えて朝鮮学校離れが進んだことが背景とされる。
朝鮮学校補助金、初の2億円割れ 減少幅は鈍化 11道府県と89市区町が支出