朝鮮学校に対する補助金は減少傾向にあるものの、いまだに多くの自治体で支出を続けている実態が17日、文部科学省の資料から明らかになった。支出実績がなかった自治体も、今後、支援が復活する可能性は残る。北朝鮮によるミサイル発射が繰り返される中、北朝鮮当局の強い影響下にあるとの疑念が残る朝鮮学校への支援が妥当なのか、各自治体は慎重に検討する必要がある。
令和3年度に支出実績があった11道府県89市区町のうち、支出が最も多かったのは兵庫県の4740万円。学校運営費に対する補助として交付されていた。同県内では10市で計1805万円を支出しており、県全体では約6500万円。全国総額の3分の1を占め、県全体の支出額は例年突出している。
一方、2年度に実績がなかった福岡県は3年度に約8万円を支出。同県では朝鮮学校が行う交流イベントなどへの補助を続けており、県の担当者によると、2年度は新型コロナウイルス禍の影響で開催できなかったため支出がなかったが、3年度は朝鮮学校側からイベント開催に関する申請があり支援が復活した。
福島県は2年度に17万円を支出したが、3年度は実績なし。同県の制度は学校運営費補助が名目で、3年度以降、県内の朝鮮学校が休校状態のため支出がなかった。県の担当者によると、現在も休校状態で4年度も支出はないという。
朝鮮学校を巡っては過去に、補助金を支給された家庭の保護者が「寄付」名目で朝鮮学校側に納付させられるなどの制度悪用が問題視されたことがある。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者の関与が指摘されており、国が警戒を強める一因となった。
朝鮮学校側は各自治体に対し、補助の充実、復活を要求する活動を続けている。制度が停止状態の東京都には朝鮮学校の支援者や教員、保護者らが今年に入り、補助復活を求めて要望書を提出。ほかの自治体でも朝鮮学校側による抗議活動などが続いている。
拉致被害者の支援組織「救う会」会長の西岡力・麗澤大学客員教授は「いまだに多くの補助が行われている現状は残念。拉致問題が解決に向かわないどころか、核・ミサイル開発を進める北朝鮮を礼賛する教育を行っている朝鮮学校への公金支出が正しいのか、各自治体は改めて考えるべきだ」と指摘している。(大泉晋之助)