14人が死亡、6千人以上が重軽症を負った平成7年のオウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で28年となるのを前に、事件で地下鉄職員の夫を亡くした高橋シズヱさん(76)らが17日、斎藤健法相や浦田啓一公安調査庁長官と面会した。高橋さんらは後継団体「アレフ」による被害者に対する賠償金の支払い実現への協力をはじめ、事件を後世に伝える資料館設立やカルト対策などを要望した。
高橋さんは面会後、記者会見し「最高裁で10億2千万円を超える損害賠償を命じる判決が確定しているにも関わらず、オウムの後継団体が支払っていない点に、被害者は一番憤りを感じている」などと訴えた。
公安審査委員会は13日、アレフに対し、施設の使用や金品の贈与などを禁じる団体規制法に基づく再発防止処分を初めて出した。アレフは12年から、公安調査庁に資産状況などの報告が義務付けられた「観察処分」の対象となっていたが、ここ数年は報告の一部を怠るようになり「資産隠し」が指摘されていた。
高橋さんは会見で「カルトの問題を次世代に伝え、つなげていきたい。資料保存の場を設けてほしい」とも語った。