EUの2035年エンジン車禁止にドイツが「待った」 フランスと対立

産経ニュース
ブリュッセルの欧州連合(EU)本部に掲げられた旗=2020年8月(ロイター)
ブリュッセルの欧州連合(EU)本部に掲げられた旗=2020年8月(ロイター)

【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)で2035年までに内燃エンジン車の新車販売を禁止する法案に対し、欧州最大の自動車生産国ドイツが見直しを要求し、採択にブレーキがかかった。フランスはドイツに異議を唱え、独仏が真っ向から対決している。

このEU法案は、50年までに温暖化ガス排出量を「実質ゼロ」とする目標に向け、欧州委員会が21年に発表した。EUが電気自動車(EV)への転換で、世界をリードする狙いがあった。今年2月に欧州議会で承認され、今月のEU閣僚理事会で最終的に決める予定だった。ドイツが土壇場になって異議を唱えたことで、採決が延期された。

ドイツは、二酸化炭素と水素で作る合成燃料「e燃料」を使うエンジン車については、35年以降も販売を認めるよう要求した。イタリアやポルトガル、東欧チェコやポーランドも法案反対で同調した。13日にはこれら7カ国の運輸相らが会合を開き、結束を示した。ドイツのウィッシング運輸デジタル相は「政治で技術を規制するより、未来の発展に道を開くべきだ」とツイッターで発信した。e燃料も、温室効果ガスの削減に役立つと主張する。

これに対し、フランスのルメール経済財務相は13日に仏テレビで、「(法案見直しは)環境、経済の両面で悪い影響をもたらす」と訴えた。EUのEV化は中国に比べて遅れていると指摘し、産業転換を急ぐためにも法案を変えるべきではないと主張した。スペインも法案見直しに反対の立場。欧州委員会は妥協策を探っているが、加盟国の対立で、閣僚理事会による承認は大幅に遅れる見通しとなった。

ドイツはフォルクスワーゲン(VW)やBMWなど欧州を代表するメーカーを抱え、自動車産業の雇用は約88万人にのぼる。ドイツ自動車産業連合会(VDA)はEV充電インフラの整備が十分ではないとして、35年までの内燃エンジン車販売禁止は「時期尚早」と主張していた。

e燃料は既存の内燃エンジンやガソリンスタンドで使用でき、転換コストが抑えられる。工場などで発生する二酸化炭素を利用するため、温室効果ガス削減につながるが、必ずしも排出量が完全にゼロになるわけではない。航空機や船舶への活用が見込めるため、日本では政府が次世代燃料として導入を促している。

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