大阪商工会議所は17日、大阪府内の事業者を対象に行ったインボイス(適格請求書)への対応に関する調査結果を公表した。10月1日の制度導入までに「準備・対応を完了できる見込み」としたのは、これまで消費税の申告義務がなかった年間売上高1千万円以下の免税事業者で4割にとどまった。一方、課税事業者では9割にのぼり、準備状況に大きな差があることが鮮明になった。
インボイスは、軽減税率導入で8%と10%に税率が分かれた消費税を正確に納税するための制度で、売り手企業が買い手企業に対し消費税の適用税率や額を示す適格請求書を交付する。
大商の調査は2月に実施し、334社から有効回答を得た。制度導入までに「準備・対応を完了できる見込み」としたのは、免税事業者が41・9%だったのに対し、課税事業者は90・6%だった。
この日会見した鳥井信吾会頭(サントリーホールディングス副会長)は「制度が分かりにくく、周知徹底もされていない。ある程度の規模の会社は経理担当者がいて対応できるが、規模の小さい会社は難しさもある」と指摘した。
調査では、取引のある免税事業者とのやり取りについても質問(複数回答)。課税事業者の52・1%が「現時点では何の連絡・取り決めもしていない」とし、「制度についての情報提供を行った」が33・7%だった。鳥井氏は「制度の影響を大きく受けるのはフリーランスを含む免税事業者だ。引き続き相談や情報提供の支援を行いたい」と話した。(井上浩平)