日本のポップスとして「SEPTEMBER」は確かな評価を得て、新しいフィーリングの作品として洋楽好きの若者の耳を奪うスマッシュヒットとなった。チャート最高位は39位でも、数カ月にわたってチャートインするロングヒットとなり、レコード会社が念願としていた「第21回日本レコード大賞」で新人賞を獲得することもできた。
「あの歌はまりやさんが歌ったからこそ、いい意味で分かりやすいポップチューンになり、お互いの代表曲のひとつとして残ったと思います。2年後の『イチゴの誘惑』もそうですが、ほかの人にはない、余裕を感じさせながら楽しい部分を押し出して歌えてしまうキャパシティの広さがあるんです。彼女は、自身がつくったシリアスな『駅』や、メッセージ性がある『元気を出して』のような歌も歌えるし、様々な多面性を自分の歌の世界に構築できるシンガーなんです」
■林哲司(はやし・てつじ) 73年にシンガーソングライターとしてデビューして今年で50周年。作曲家として、竹内まりや「SEPTEMBER」、松原みき「真夜中のドア」、杉山清貴&オメガトライブ「ふたりの夏物語」、稲垣潤一「思い出のビーチクラブ」などヒット曲を量産。映画、テレビドラマのサウンドトラックも手がけている。自身の代表曲を演奏する『SONG FILE LIVE』も実施している。