ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表が15日、東京ドームで16日に行われるイタリアとの準々決勝に備え、試合会場で全体練習を行った。先発予定の大谷翔平投手(28)=エンゼルス=は、日本で今大会最後の雄姿となる投打同時出場「リアル二刀流」に向けて最終調整。エンゼルスの同僚ら大リーガーが主力の相手に対し、上限80球の球数を意識せず、最初からアクセル全開で真っ向勝負を挑むことを宣言した。
視線が捉えるのは海の向こうではない、目先の打者だ。大谷は、米国行きの切符を懸けた準々決勝へ表情を引き締めた。
「かなり厳しい戦いになる。あまり先を考えず、一人一人投げていくのが大事。僕だけじゃなく、ダルビッシュ投手も今永投手も誰が投げてもいいような投手陣なので、行けるところまで行ければ、十分つないで勝てる」
日本は投手陣を総動員し、是が非でも勝利をもぎ取る構え。2番手以降の投手には2009年の第2回大会で胴上げ投手となったダルビッシュが控え、8試合で防御率0・62と国際試合に無類の強さを誇る今永もブルペンでスタンバイする。
1次リーグで65球だった投球数制限は、準々決勝で80球に増える。長いイニングを投げるのが先発の役割だが、大谷はバトンをつなぐ顔ぶれに信頼を置くからこそ、ペース配分を重視せず、立ち上がりから全力投球する考えを明かした。
4回無失点の好投で勝利に導いた9日の中国との初戦に続き、「3番・投手兼DH」の〝リアル二刀流〟で先発する見込みだ。30日(日本時間31日)にエンゼルスで開幕投手を務めるため、日程的に投手での出場は16日が今大会最後になる。
とりわけ勝負を待ち望む相手がいる。イタリアの三塁手、Da・フレッチャーはエンゼルスの同僚で、2018年にともにメジャーデビューした気心の知れた同学年。通算501試合に出場し、打率・278の実績を持つ。キャッチボールなどで調整を終えた大谷は「彼と一緒のケージで打ったりしているし、あっちも後ろから僕の投球を見ている。個人的に楽しみ」と、同僚対決に闘志を燃やした。