広島県竹原市の自宅で昨年5月、介護していた夫=当時(85)=の首をネクタイで絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた無職、中田妙子被告(78)の裁判員裁判で、広島地裁は16日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
三村三緒裁判長は判決理由で、事件の4、5日前ごろから殺害を思い立ち、複数の方法も考え「強固な殺意が認められる」と指摘した。その上で緑内障を患いながら、認知症の夫を介護するのは過酷で、不眠の原因にもなったと認定。子どもたちも介護に目を向けず「被告だけの責めに帰すことは酷だ」と大きく情状を酌量した。
判決言い渡し後、三村裁判長は「家族全員で被害者の命の尊さについて考え、弔ってあげてください」と説諭した。
判決によると、中田被告は昨年5月23日午前4時半ごろ、4本つないだネクタイの端をベッド脇の手すりに結び、就寝中の夫光昭さんの首に巻いて絞め、窒息死させた。