母国での同性愛者に対する迫害を理由に来日した30代のウガンダ人女性が、国に難民認定を求めた訴訟の判決が15日、大阪地裁であった。森鍵一裁判長は「恣意的(しいてき)な身柄拘束の可能性がある」として女性の訴えを認め、国の難民不認定と強制退去処分を取り消した。
女性の代理人弁護士によると、入管当局が同性愛への迫害を理由に難民認定を出したことはあるが、裁判所の判断で不認定が覆るのは初めてとみられる。
判決などによると、ウガンダでは同性同士の性行為は違法で、最高で終身刑という。このため女性は令和2年2月、ブローカーから入手した旅券(パスポート)で関西国際空港に到着したが入国は認められず、入管施設に収容された。難民認定を申請したが同年4月に不認定となった。
判決理由で森鍵裁判長は、女性が約5年前に母国で同性愛者を理由に警察から逮捕され、暴行を受けたと指摘。「帰国すれば同様の行為を受ける恐れがある」と認定した。
国側は、実際にウガンダで同性愛者を理由に処罰された事例はなく、身柄拘束も「同性愛が理由とはいえない」などと主張したが、森鍵裁判長は「同性愛以外に拘束される理由が見当たらない」と退けた。
判決後、大阪市内で会見した女性は「明るい未来を期待している。難民申請している方に『希望を失ってはいけない』と伝えたい」と話した。