大阪府警の依頼で司法解剖を担ってきた近畿大医学部法医学教室の元主任教授、巽信二被告(68)=詐欺罪などで公判中=が逮捕、起訴された経費詐取事件に関し、近大は15日、2年前から中止していた司法解剖を6月ごろに再開すると発表した。府警への過大請求金の返還のめどがたったことや府警側の要望もあり、再開を決めた。
近大は15日、大阪市内で開いた記者会見で、事件に絡む調査結果も最終報告し、不正総額を約1億5千万円と認定。巽被告は少なくとも15年間にわたり不正を続けていたとみられ、一部は弁済した。近大は府警に過大請求した約8970万円(遅延損害金を含む)を今年度中に返還する。
法医学教室を巡っては令和3年2月、巽被告が偽造領収書で近大から経費をだまし取った疑いが発覚し、解剖の受け入れを中断。近大は同3月に巽被告を懲戒解雇し、翌月に調査委員会を設置して検証を進めてきた。
被告は3年6月以降、近大からの詐取や府警に解剖検査費を水増し請求したとする詐欺容疑などで逮捕、起訴された。公判では計約8600万円を詐取した罪に問われ、検察側は懲役7年を求刑している。判決は6月14日。