【ワシントン=渡辺浩生】米南部フロリダ州のデサンティス知事は14日までに、ロシアによるウクライナ侵略を「領土紛争」として同国へのさらなる関与は米国の「重大な国益」ではないとの見解を示した。2024年の大統領選で共和党候補指名争いへの出馬が取り沙汰されるが、ルールに基づく国際秩序を守る米国と同盟友邦国の共通の利益とするバイデン大統領との対立を鮮明にし、波紋を広げている。
FOXニュースの人気ホストで、プーチン露大統領を擁護する発言をしたことがあるタッカー・カールソン氏が共和党候補と目される人物にウクライナに関する質問状を送り、返答をツイッターに投稿した。
デサンティス氏は「米国の数々の重大な国益」に米国境の保護、米軍即応体制の整備、エネルギー安全保障確立、中国の経済・軍事力抑制を挙げたうえで「ウクライナ・ロシア間の領土紛争にさらに巻き込まれるのはそれら(重大国益)のひとつではない」と回答。
「戦いの続く限り」続けるとするバイデン政権の支援を「空の小切手」の資金供給とし、「明確な目的や説明責任を欠き、最も差し迫った課題から注意をそらすものだ」と批判した。
デサンティス氏はまだ出馬表明していないが、各種世論調査でトランプ氏に次ぐ高い支持率を維持。教育など内政課題で保守主義を鮮明にするが、外交姿勢が明らかになるのはまれだ。
ロシアの侵略を「人道上の犯罪」としウクライナ支援への結束を「自由と民主主義を守る戦い」とするバイデン氏と相反し、支援継続や介入の拡大に消極姿勢を示す一部の保守層の声を意識したものとみられる。
一方、トランプ氏は質問に「私が大統領だったらロシアは間違いなくウクライナを攻撃しなかった」とし、欧州は「米国がウクライナ支援に払った同額を少なくとも払うべきだ」と強調。前政権で国連大使を務め、先月名乗りをあげたヘイリー氏は「ロシアが勝利したら最も緊密な友好国の中国とイランがより攻撃的となる」とし、関与は米国の重大利益と主張した。