大阪大の林克彦教授(生殖遺伝学)らのチームは15日、雄マウス由来の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から卵子を作製することに成功したと英科学誌ネイチャーに発表した。別のマウスの精子と受精させると子が誕生した。哺乳類の雄のiPS細胞から卵子を作製したのは世界で初めて。
林教授は「男性同士や、性染色体に異常があるターナー症候群の女性が子供を持つ治療につながる可能性がある」と話した。ただ、人ではiPS細胞から卵子を作製した例はなく、マウスに比べて研究に時間がかかるとしている。
人やマウスの性別を決める性染色体にはXとYの2つがあり、雄は「XとY」、雌は「XとX」の組み合わせ。林教授らは、雄のY染色体が時間とともに消滅することがあることに着目した。大人の雄マウスの細胞からiPS細胞を作り、培養してY染色体が消えた細胞を抽出。特殊な化合物で処理してX染色体を2つ持つ細胞を作った。
さらに卵子に変化させ、別の雄マウスの精子と受精。受精卵を雌マウスの子宮に移植した。630個の受精卵で試し、7匹の子が生まれた。子は通常通りに成長し生殖能力もあった。