キャンプから状態が上がってこない。「ちょっと考えすぎやなあ」と何度も手を差し伸べた。7日の韓国との強化試合の前には、京セラドームでの試合前練習に参加させず、甲子園に呼んで直接指導した。最近では大山の打撃練習が始まると、打撃ケージ裏だけでなく三塁側や一塁側ベンチと角度を変えながらチェックするのが日課だ。
「練習でいい感じで打っているときもあるんやけどな」
岡田監督が何度も口にしている言葉だ。これも期待の裏返し。昨秋の練習で「打つときのポイントを前にしたらどうか」とアドバイスした。受け入れた大山は、宜野座キャンプで「力を入れなくてもボールが飛んでいる感じがする」と手応えをつかんでいたのだが…。
実戦に入ると、簡単には打たせてもらえない。結果を求めて、難しい球に手を出してしまう悪循環に。「オープン戦でいくら打っても金にならんから、打たないんとちゃうか」とジョークで復調を待っていた指揮官も、そろそろ兆しくらいは見せてほしくなってきた。
左腰の張りで出遅れていた3番候補のノイジー(前アスレチックス3A)が、12日の巨人戦(甲子園)でオープン戦初安打を含む2安打。5番候補の佐藤輝もオープン戦は打率・208と、本調子とはいえないが、悪くもない。4番だけが蚊帳の外だ。
14日からの関東遠征に向けて、大山は「同一リーグとかは(関係)ない。1試合1試合、ムダにしないように、(試合)数も限られているので、しっかりやりたい」と決意をにじませた。粘り強く起用する岡田監督のこと、よほどのことがない限り「4番・大山」は動かさないだろう。開幕に向け、少しでも自信を取り戻してほしい。オープン戦は残り10試合。祈る思いで、見つめる。(三木建次)