Q 40代女性です。昨年12月、子宮頸部(けいぶ)の細胞診で異常が見つかりました。さらに子宮頸部パンチ生検(膣拡大鏡で異常所見が認められる部位を米粒未満の大きさで採取)で組織診をしたところ、子宮頸部の高度異形成(CIN3=子宮頸部上皮内腫瘍、グレード3)と診断されました。
今年1月に再度、大学病院で細胞診を受けましたが、子宮頸部の膣腔側の入り口(子宮口)が狭くなっていて、診断器具が挿入できなかったため、正確な病状の評価が不可能といわれて困惑しています。どのような状態なのでしょうか。
A 通常、月経が周期的に来ていれば、子宮口は開いているはずです。相談者は40代前半ですが、半年ぐらい前から月経がなく、内分泌学的には早発閉経(40代前半に満たない若い年齢で閉経すること)と診断されています。加えて、子宮頸管の軽い炎症で子宮口が狭くなったのかもしれません。
子宮頸がんとは、その前段階の上皮内腫瘍(異形成)が、がん化したものです。子宮頸がんの診断では、子宮頸管内膜の状態を調べて評価することは必須となります。そこで主治医は詳細な画像検査を指示したのです。
Q 造影MRI検査の結果、子宮頸部の上部(子宮体部側)に小囊胞(のうほう)が多発していることが分かり、子宮頸部のより精密な検査が必要と言われました。どういうことでしょうか。
A 主治医はLEGH(分葉状子宮頸管内膜腺過形成)を疑ったのだと思います。
大部分は良性ですが、そのうち数%が、子宮頸がんの一つである腺がんの初期段階を合併することがあります。そうした診断は、経験豊富な画像診断の専門医が、小囊胞の集簇(しゅうぞく)パターンや造影強度(濃度)を見て行います。
Q 私の場合、子宮頸部の一部を円錐(えんすい)状に切除する円錐切除術をすすめられました。子宮頸管の奥行きを3~4センチ切除するとのことです。それでもMRI検査で指摘された病変の全体については、評価がしきれないかもしれない、とも言われました。
A 39歳未満の若年者に行う円錐切除術は、通常、円錐の高さ(子宮口からの奥行き)を1・5センチぐらいにして行います。若年者のCIN3では97%が治ります。
しかし、がんの可能性が考えられるLEGHの場合には、子宮頸管をくり抜くように、まず奥行きを3センチぐらい切除し、次に1センチ程度を追加切除します。さらに子宮頸管の最奥を金属製の鋭匙(えいひ)=先端に刃のついたスプーンのようなもの=で全面搔爬(そうは)します。ここまで行い組織を調べた結果、悪性の可能性がなければ、良性のLEGHだとみなします。
Q 私は早発閉経なので、子宮全摘術を受けたほうがよいと考えられますか。
A 今回の場合、子宮頸管狭窄(きょうさく)で十分な評価ができないので暫定的にCIN3以上と診断され、またMRI検査でLEGH以上かもしれないと診断されました。このため、先にお話しした方法による円錐切除術が提案されました。
この方法で円錐切除を受けると、手術後に子宮頸管が完全に閉塞(へいそく)してしまう可能性もあります。
そのため、主治医は子宮全摘を前提にしていると推察します。よく話を聞いて、ご自身の状況を確認してみてください。
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回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。
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