ビブリオエッセー

私にとっての「金ピカ」は 「宇宙兄弟」小山宙哉(講談社モーニングKC)

産経ニュース

愛読してきた漫画『宇宙兄弟』には忘れられない言葉がいくつもある。そんな登場人物らの名言を集めた「心のノート」は本にもまとめられたが立ち止まったり、将来に不安を抱いたとき、いつも勇気を与えてくれる。

少年の頃、「俺らは二人で宇宙飛行士になるぞ」と誓った南波六太(ムッタ)と日々人(ヒビト)の兄弟。その後、月面でのミッションで夢を果たしたが、物語は今も目を離せない展開だ。私が好きな言葉はずっとさかのぼって、兄のムッタが弟に先を越され冴えない毎日を送っていた頃。兄弟を支えてきた天文学者の金子シャロンが、宇宙飛行士の選抜試験にのぞみながら、まだ迷っていたムッタを見てこう問いかける。

「今のあなたにとって…一番金ピカなことは何?」

少年時代のムッタが選んだのはトランペットだった。「音を出さなきゃ音楽は始まらないのよ」とシャロンは挑戦を促した。あのとき金ピカなトランペットを選んだように夢をあきらめるなと背中を押したのだ。

この状況と今、就職活動中の私が似ている。やりたいことを選ぶか安定か、選択に迷いながらもささやかだが自分にとって一番輝く「金ピカ」は一つだけだと思っている。今まさにその困難に直面しているのだが、そんなときは「心のノート」を開いてみる。

最近では宇宙飛行士試験で合格者二人のニュースに目が釘づけになった。この漫画の登場人物、伊東せりかのような女性もいて、まさにリアル宇宙兄弟。夢を忘れず駆けのぼる人たちの顔は輝いて見えた。

まだまだこの漫画から学ぶ言葉は尽きない。私の「心のノート」に、迷わずメモしていきたい。

奈良市 清原貫(21)

投稿はペンネーム可。650字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556―8661 産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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