出身国・地域の強権的な政治状況に抗議する在日外国人女性らが12日、東京・浅草で、女性や子供に対する深刻な人権侵害行為を非難するデモ活動を行った。海外で女性の人権が踏みにじられている現状を知ってもらい、連帯を呼びかける狙いがある。約200人が観光客でにぎわう休日の浅草を練り歩いた。
国連が定める8日の「国際女性デー」に合わせて実施された。イランやウクライナ、ミャンマー、カンボジア、ベラルーシ、香港など約10の国・地域出身の外国人女性や支援者が参加し、「すべての女性に人権を」などと声を挙げた。
デモ行進に先立つ集会では参加国の代表者らが母国での女性の窮状を訴えた。
イランでは昨年9月に22歳の女性が頭髪を覆う「ヘジャブ」の着用を巡り、当局に逮捕され、急死する事件が起き、イラン全土に抗議活動が拡大した。在日のイラン人女性は「世界はイランの女性への拷問と殺害を無視している。独裁政権が無くなるまでイラン人は自由のために戦う。強制結婚など女性に対するさまざまな強制的な制度が無くなる日がきっと来るだろう」と強調した。
ロシアの侵攻に直面するウクライナ出身の女性は「狡猾(こうかつ)で残忍な占拠者から祖国を守るため、日常生活を捨て入隊し、ロシアに不法にとらえられ、拷問されたウクライナの女性のことを忘れないでほしい」と訴えた。
ベラルーシは「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が強権統治を敷いており、ベラルーシ人の女性は、女性が政治的な理由で迫害されている母国の状況に言及し「暴力を受けて健康を失った女性、逮捕されて子供と引き離された女性、未来と自由を失った女性の人権を取り戻すため力を貸してほしい」と語った。
参加者はデモ行進を終えると、警備に当たった警察官らに拍手を送り、謝意を示した。