将棋の藤井聡太五冠(20)=棋聖・竜王・王位・叡王・王将=が8日、東京都渋谷区の将棋会館で指された第81期名人戦A級順位戦のプレーオフで後手の広瀬章人八段(36)を125手で下し、名人挑戦権を初めて獲得した。4月5、6日に開幕する七番勝負で渡辺明名人(38)=棋王との2冠=に挑戦。名人位を奪取した場合は20歳10~11カ月で、谷川浩司十七世名人(60)が1983年6月に達成した21歳2カ月の名人最年少記録を40年ぶりに更新する。
午後11時45分の終局から感想戦を終え、9日午前0時45分ごろから記者会見に臨んだ。
以下、主な一問一答
ーー挑戦を決めて改めて抱負を
「名人戦の舞台にふさわしい良い内容の将棋が指せるように頑張りたいと思っています」
ーー名人挑戦で7冠達成の可能性がある。7冠は羽生善治九段しか達成していない。何が必要かと思うか
「今、棋王戦と王将戦を戦っていて、現時点で7冠という数字を意識するということは全くないんですけど、王将戦と棋王戦を戦っていろいろ反省点や課題があったと感じている。それを名人戦に生かしていけるよう頑張りたい」
ーー挑戦権獲得までの道のりを振り返って
「今期のA級順位戦は厳しい戦いだったと感じています。負けた将棋はチャンスを作れなかったですし、勝った対局も最後まで難しい将棋ばがりだった。10局を指して挑戦というとても良い結果を出すことができたのは充実感があった」
ーー子ども頃にあこがれた名人に挑戦する気持ち
「名人と言うのは歴史のある称号で、名人戦に出るということは重みを感じるところはある。自分にとっても大きな舞台に立てると思っているので、それにふさわしい将棋を指したいという気持ちが強いです」
ーー順位戦を6期戦って名人挑戦権を獲得した
「ここまで振り返ると順位戦の対局を通して自分自身が成長できたのが大きかった。四段だったころは長い持ち時間の対局は順位戦以外は少なかったですし、そういう中で少しずつ力を付けることができて、名人に挑戦するというところまで来られたのは良かった」
ーー名人という言葉の響き、この二文字にはどんな思いがあるか
「自分が将棋を始めたころから、直接は意識するということはなかったが、言葉を知っていて、それに挑戦するのは改めて感慨深いものがあります」
ーー6歳の誕生日カードに「名人になりたい」と書いた
「それはまったく、記憶していなかったんですけど、将棋を始めたのが5歳の頃なので大きく出たなと思いますけど、当時の自分に教えてあげたいなと思います(笑)」
ーー3日前に棋王戦で衝撃的な負け方をした。中2日でプレーオフに臨むにあたってどうだったか
「(詰みを逃したと)気が付いたときは若干、ショックだったんですけど、もともと途中から負けていた将棋だったので、結果は仕方ないかなと思っていた。棋王戦は中盤の難しいところで長考したところでミスをしてしまい苦しくなってしまったところがあったので、本局に生かせればと思っていました」
ーー王将戦、棋王戦、順位戦と対局が立て込んでいたが、体力の回復はどうしている
「対局が多い時は自分自身は良い状態で臨めるのが何より重要なので、しっかり休んで対局日に疲れが残らないようにするのを最優先で考えています」