幼児期の外遊びがスマホの悪影響を緩和 「スマホ育児」批判の風潮に一石

(Getty Images)※画像はイメージです
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スマートフォンやテレビを視聴する時間が長い幼児は、コミュニケーション機能などが低下する恐れがあるものの、外遊びの機会を増やすと悪影響を緩和できるとする論文を大阪大学と浜松医科大学の研究チームが発表した。おとなしくしてほしいときにスマホを子供に見せる「スマホ育児」については賛否が分かれ、母親らが槍玉に挙げられることもあるが、研究チームは十分なフォローがあれば幼児期の能力発達に関して過剰に心配することはないとし、批判的な風潮に一石を投じている。

世界保健機関(WHO)は2019年、5歳未満の子供を対象とした身体活動や睡眠に関するガイドラインを発表。テレビやスマホなどの画面を見ている時間「スクリーンタイム」について、2歳児が座ったまま視聴するのは1日1時間までにするよう推奨した。1歳未満の幼児は「0分」が望ましいとした。

こうした基準が設けられた背景には、長いスクリーンタイムが子供の発達を阻害してしまう懸念がある。研究チームによると言語機能、社会機能・対人機能(社会性)、運動機能の発達に望ましくない影響が生じたり、学業成績が低下したりする可能性があると指摘されているという。しかし、具体的な影響に関する科学的根拠は十分ではなかった。

研究チームは浜松市の885人の子供を調査したデータをもとに、2歳のときのスクリーンタイムと2歳8カ月の外遊びの習慣が、4歳時点の機能の発達に与える影響を調べた。発達を評価する機能には、言語や読み書きにかかわる「コミュニケーション機能」、衣服の着脱や家事の手伝いに関する「日常生活機能」、対人関係などの「社会機能」の3つが選ばれた。

両親の教育歴なども考慮してデータをまとめると、1日あたりの視聴時間が1時間を超えてスクリーンタイムが長いとされる子供は、約2年後にコミュニケーション機能と日常生活機能が少し低下する傾向があることが分かった。研究チームによると「影響の程度は限定的」だったという。

外遊びの習慣については、息が荒くなる程度の運動を30分以上、週に6回以上行っていた場合は、スクリーンタイムによる日常生活機能の低下が「大幅に」軽減することが明らかになった。コミュニケーション機能の低下は軽減されなかった。

スクリーンタイムの長さと外遊びの習慣は、幼児の社会機能の発達に影響を与えていなかった。

スクリーンタイムによる悪影響を外遊びで緩和できるとする結果を受けて研究チームは、育児の中で子供のスクリーンタイムを減らすことが難しい保護者に代替案を示せたと主張。「『スマホ育児』というネガティブワードの見直しが必要」だと訴えた。また、今回は2010年前後に子育てをしたデータをもとにしており、スマホで動画を視聴することがより一般的になった2020年代とは環境が異なると指摘している。

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