昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の訪台を巡っては、米国を「台湾海峡の平和と安定にとってのトラブルメーカー(問題児)」とののしったほか、外務省報道官だった2012年には、日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化について繰り返し日本を非難するなど、挑発的な言動も目立つ。ポーカーフェースの物おじしない姿勢が習氏に気に入られ、昨年12月に外相へのスピード出世を果たしたとされる。
評論家の石平氏は「習指導部にとっては対米関係改善を模索した人事だったのだろうが、偵察気球問題による米中関係悪化が影を落としている。秦氏は報道官時代から強硬姿勢で知られるが、前任の王毅氏と比べて外交経験では劣り、バランス感覚も欠ける。習氏に取り入ることが巧みなイエスマンで、独自性がうかがえない。外相よりも習氏の『外務秘書』と言った方が適切ではないか」と指摘した。