コロナ その時、

(49)2022年5月1~7月31日 「第7波」ウィズコロナに舵

産経ニュース

新型コロナウイルス感染症の流行「第6波」が収束に向かう中、日本列島は3年ぶりに「行動制限」のないゴールデンウイークを迎えた。政府は6月に外国人観光客の受け入れ手続きを約2年ぶりに再開。7月には基本的対処方針を改定しウィズコロナに踏み出すが、足元では感染者数が急増し次なる感染第7波がピークへと向かおうとしていた。

バイデン米大統領が訪日

「人との距離が十分取れれば、屋外で着用は必ずしも必要ではない」

松野博一官房長官は2022(令和4)年5月11日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染防止策としてのマスク着用について、政府の見解をこう示した。

3年ぶりに行動制限が解かれた5月の大型連休には、観光地に多くの人が訪れ、期間内の航空各社の国内線旅客数は前年同期の2倍、国際線は4・7倍に回復した。コロナ禍前には及ばないものの、経済回復へ明るい兆しが見えてきた。

新型コロナ感染流行「第6波」が落ち着き、バイデン米大統領が就任後初のアジア外遊で韓国と日本を歴訪。23日には東京・元赤坂の迎賓館で岸田文雄首相と会談した。両首脳は、軍事活動を活発化させる中国について「力による現状変更の試みに強く反対する」との認識で一致した。

同じ日、政府は新型コロナ対策の基本的対処方針を改定。マスクの着用について、屋内でも他の人と一定の距離(2メートル以上を目安)が確保でき、会話をほとんどしない場合は必要がないことを示した。

外国人観光客受け入れ再開

先んじて「コロナとの共生」に舵(かじ)を切った欧米諸国では、屋外でマスクを外すのが主流になっていた。「ゼロコロナ」政策の下、各地で厳しい感染対策を続けてきた中国でも6月1日、経済の中心地、上海市で約2カ月に及んだロックダウン(都市封鎖)が解除された。市当局は「艱難(かんなん)辛苦の上海防衛戦で重大な成果を得た。全面的に正常な生産・生活秩序を回復させる段階に入る」と強調したが、上海でのロックダウンは中国経済を直撃した。

一方、日本政府は1日、新型コロナの水際対策に関し、入国者数の1日当たりの上限を1万人から2万人に引き上げ、入国時の検査も一部免除。10日からは米国、中国、韓国など感染リスクが低いとされる98の国・地域を対象に、添乗員同行のパッケージツアーに限って外国人観光客の受け入れを再開した。

15日には米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のため、0・75%という異例の大幅利上げを決定。日米の金利差拡大で円安ドル高が進行して訪日の割安感も高まり、航空など関連業界からは政府の決定に歓迎の声が上がった。

自宅療養の患者100万人超

そうした最中の7月8日、世界に衝撃を与えるニュースが飛び込んできた。奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、参院選の応援のため街頭演説中だった自民党の安倍晋三元首相が銃撃され死亡。現場で山上徹也容疑者=当時(41)=が現行犯逮捕された。

事件直後の10日に投開票された参院選では自民党が単独で改選過半数の63議席を得る大勝を収めたが、保守層の支柱である安倍氏の死去は首相の政権運営にも大きな影響を与えていくことになる。

時を同じくして新型コロナ感染の7回目の大きな波が日本列島を覆い始めた。政府新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は11日、流行第7波に入ったとの認識を表明。しかし、政府は15日、新たな行動制限は行わず「新型コロナと併存しつつ平時への移行を慎重に進めていく」方針を基本的対処方針に明記し、社会経済活動の正常化に軸足を移していく姿勢を鮮明にした。

第6波で感染拡大を招いたオミクロン株は、それまでのデルタ株に比べ、感染力が強い一方、重症化しにくいという特性があった。第7波では、オミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりが進み、感染力はさらに強くなったが、重症化率が低い傾向は同じだった。

政府は22日、濃厚接触者の自宅などでの待機期間を原則7日間から5日間に短縮すると発表。自宅で療養する患者数が初めて100万人を突破(27日午前0時時点)し、爆発的感染が続く中、政府はウィズコロナへと大きく舵を切った。

コロナ禍と主な出来事を記録する連載「コロナ その時、」第6部は昨年5月~今年2月の感染流行第7波と第8波を検証する。

(48)2022年4月1~30日 制限なしGW、マスク緩和へ

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