防災には、個人が取り組む「自助」のほか、地域全体で取り組む「共助」も重要だ。近年建てられた大規模マンションは防災設備も充実しており、「共助の拠点」にもなる。集会室を災害対策室に転用したり、敷地内の広場が帰宅困難者の一時避難場所になったりもする。
大規模物件も多く手掛ける三菱地所グループの三菱地所レジデンスでは、東日本大震災以降、全物件に無線機や発電機を備えた防災倉庫を設けるなど災害対策を強化し、各マンションの防災計画作成や訓練をサポートしている。
同社が開発に参画したJR津田沼駅(千葉県習志野市)近くの街区「奏の杜(かなでのもり)」では、平成29年から街区内の複数マンションが合同で防災訓練を実施している。コロナ禍前の31年には、近隣の他社物件や戸建ての住民を加えた約2300世帯に呼び掛け、半数以上が参加。千葉工業大学やサッカーJリーグのジェフユナイテッド市原・千葉も訓練に加わった。
その年の秋、関東を中心に被害をもたらした台風19号に見舞われた際は、無線機の周波数を地域で共有するなどの助け合いも生まれた。しばらくオンライン開催だったが、今年は4年ぶりの現地訓練を予定する。
今後も、自社物件を拠点に同様の町ぐるみでの防災を広げる考えで、東京都中央区の晴海地区、横浜市の新子安などでの防災支援を検討している。
(取材協力 三菱地所レジデンス)