〝予兆〟は前夜にあった。阪神との強化試合(京セラ)、第1打席で放った高々と舞い上がった二飛に「1ミリで、角度で変わる。本当にあとちょっとというか、何とかできる。必ず調子は上がる」と語った。打球を見つめた大谷もベンチで大きく両手をたたいた。ホームランアーチストに通じる感覚が、そこにあった。
前日の試合は大谷が衝撃の3ラン2発を放り込んだが、この日は日本球界最高の主砲が意地を見せた。大谷のチーム合流後、トレーニング法や打席での考え方などについて助言を受けた村上。「『ナイススイング』と前を向かせてくれますし、すごくプラスな言葉を掛けてくれる」とメジャーで活躍する先輩に感謝した。
WBCは8日に台湾の台中市で1次リーグA組で開幕する。同リーグB組の日本代表は9日に初戦の中国戦に臨む。村上にとって初のWBC。「一本が出たことで、準備ができたのかな。ちょっとほっとしました。必ず勝ちに導ける一打を打てると思っているので、とにかく下を向かず必死に戦いたい」。大谷との最強「OM砲」を形成し、悲願の頂点へと突き進む。(浜浦日向)
★最後まで試行錯誤 1打席目に本塁打を放った村上だが、2打席目以降は2度の満塁機を含む3打席連続三振を喫するなど、4打席ノーヒットに終わった。「体重のかけ方、ボールの待ち方とか、また違う感覚で打ってみたり、いろんなことをやっている段階だった。1打席目に結果が出たことで、あの打ち方が一番いいのかな」と試行錯誤していたことを明かした。結果が出ない日々も焦りは「ないです」ときっぱり。「僕たちは(初戦の)3月9日に向けてやっているだけなので、本戦で打てる準備もできた」と言い切った。