ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)本番前の最後の強化試合で、日本の打撃陣に当たりが出てきた。牽引したのは、4番に座った吉田(レッドソックス)だった。
一回1死一、二塁、右前へ先制の適時打を放つと、二回2死満塁の好機には左中間へ走者一掃の三塁打。四回にも右前打と、3安打4打点の活躍に「ぼちぼち、ラッキーだった。(コンディションは)徐々に上がってきている」と、順調な調整に自信を見せた。
ここまでの5試合でわずか2安打、本塁打なしに終わっていた村上(ヤクルト)にも待望の一発が飛び出した。1点リードの一回2死一、二塁から、150キロの直球を逆方向の左中間席へと運び「来た球に対して思い切りスイングができた。少しずつ感覚も良くなってきた」。この日は、これまで守ってきた4番の座を譲り、6番に打順を下げた。「正直、悔しかった。まずは結果を出せてホッとしている」と胸をなでおろした。
もう一人の悩める大砲、山川(西武)にも初安打が出た。四回2死二塁から大谷の代打で登場すると、左翼線を破る適時打。「1本出ると世界が変わる」と八回には左翼席にソロ本塁打も放った。今季から軽量のバットを使っていたが、昨季までのモデルに戻して試合に臨み「長く使っているバットの方が感覚的には合う。(結果が出て気持ち的に)全然違う」といいイメージを持って本番を迎えられそうだ。
12安打9得点の大勝劇。栗山監督は「いい形の準備はできた。選手を信じ切って前に進むだけ」と力を込めた。3大会ぶりの世界一へ。準備は整った。(神田さやか)