外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法改正案が7日、閣議決定された。大きな柱の一つが、難民認定申請手続きの大幅な変更だ。現行では回数や理由を問わず申請中は送還手続きが停止されるが、送還停止を原則2回までに限定。「送還逃れ」に使われてきた申請の乱用を防ぐ狙いがあるが、外国人支援団体などは反発しており、法案審議は難航しそうだ。
難民条約は、難民の国外送還を禁じている。現行の入管法では、難民認定を申請している段階で送還されることはない。また、仮に難民に認定されなくても人道的な理由で在留を認める「在留特別許可」の対象となる可能性がある。
出入国在留管理庁によると、令和3年の難民認定申請者は2413人で、認められたのは74人。このほか、国内情勢の悪化を理由としたミャンマー人など580人が人道的配慮から在留特別許可を得た。
一方、同年末時点で不法滞在や犯罪などで強制送還の対象となり送還を拒否した3224人のうち、難民認定申請者は1629人と約半数を占める。入管関係者は「難民ではないのに国内に残りたい外国人が、難民認定申請の手続きに集まっている」と話す。
こうした事態を防ごうと、改正案では懲役3年以上の実刑判決を受けた外国人や、難民認定申請回数が3回以上の外国人などについては難民ではない可能性が高いとして、手続き中でも送還できるように変更した。
ただ、外国人支援団体によると、難民認定基準が厳しい中、申請を何度も繰り返した末に難民認定された人も実際にいるという。団体の関係者は「送還対象になる3回以上の申請者に真の難民がいる可能性は高い」と回数制限を設けた改正案に懸念を示した。(荒船清太)
入管難民法改正案を閣議決定 難民申請手続き適正化へ、「準難民」受け入れも