阪神のドラフト3位新人、井坪陽生外野手(17、関東第一高)が、早くも光る才能を見せはじめている。練習試合や春季教育リーグでレベルの高い打撃を示して評価を高めている。
3日の2軍春季教育リーグ、中日-阪神(ナゴヤ)の九回1死二、三塁で、井坪は左腕・近藤廉投手(24)の高め直球を中前にライナーで弾き返し、走者を1人返すタイムリーを放った。練習試合を含めた対外試合5試合目でプロ初打点をあげた。三回に左前、八回には中前に安打。3安打1打点の活躍を見せ「結構、試合前からいい準備ができていたかなと思います。打てなかった時の打席を次の打席に持ち越さないですぐ改善できたので、状態はいいと思います」と冷静に振り返った。
関東第一高(東京)で通算32本塁打をマークした才能の片鱗(へんりん)をのぞかせ、指導者として数多くの選手を見てきた和田豊2軍監督も「キャンプから打席での雰囲気を持っている。打つ、打たないというよりも、凡打の内容もずっといい。高卒1年目でプロの投手に対してしっかり対応できている。積極性もある」と打撃センスに目を見張った。
和田2軍監督が特に評価しているのが、投球に対してタイミングを合わせる能力だ。「相手投手の球がどんな変化をするかわからない、どんな質の球を投げるかわからないところで初球から対応していく。非凡なものというか、見ていて期待が持てる打席を何打席も見てきている」と指摘した。
とはいえ、3月17日でようやく18歳の誕生日を迎える若虎だけに、まずは体力面で強化が第一。今季はファームでみっちりと鍛えられる方針。打撃以外の「走・守」の部分でも工藤隆人2軍外野守備走塁コーチと猛練習に取り組んでいる。
阪神の近年の高卒新人では、2020年の井上広大外野手が1軍の試合に6試合出場している。早くも高い打撃センスを発揮している井坪の1軍戦デビューは今季中か、それとも来季以降となるのか。いずれにしても将来が楽しみな存在だ。(上阪正人)