京都市の女子大学生が劇薬のタリウム摂取により殺害された事件で、女子学生の自宅からタリウムが見つかっていないことが5日、捜査関係者への取材で分かった。タリウムはかつて殺鼠(さっそ)剤などに用いられていたが、現在は厳格な規制下に置かれ入手困難とされる。大阪府警は殺人容疑で逮捕した被害者の知人の不動産賃貸業、宮本一希容疑者(37)=京都市左京区修学院中林町=が外部から持ち込んだとみて、入手ルートの特定を急ぐ。
殺害されたのは同市北区の立命館大3年、浜野日菜子さん(21)。府警によると、浜野さんは昨年10月11日に京都市内で宮本容疑者と外食後、2人で自宅で飲酒した12日未明に体調を崩し、大阪府内の病院に搬送され15日に死亡した。
捜査関係者によると、事件後、府警が浜野さんの自宅マンションの部屋を調べたところ、タリウムは検出されず、保管に使う容器も見つからなかった。
府警は宮本容疑者が事前にタリウムを準備して持ち込み、2人で飲酒している際に、浜野さんに隠れて酒にタリウムを混入させた可能性が高いとみている。
宮本容疑者は逮捕前の府警の事情聴取に対し、浜野さんが突然咳(せき)込みだし、止まらなくなったなどと説明。このため「薬局で市販薬を買って飲ませた」と供述していた。府警が裏付け捜査をしたところ、実際に12日未明に1人で薬局に行き、市販薬を購入していたことが判明した。
府警は、急性タリウム中毒が原因とみられる浜野さんの突然の体調悪化に、自身が関与していないと装うため、宮本容疑者が薬局に出かけるなどしたとみている。宮本容疑者は逮捕後は黙秘している。