高病原性鳥インフルエンザの感染拡大を受けて、「卵ショック」が深刻化している。鶏卵の供給量減少に伴い、価格は最高値を更新、外食業界などでは一部メニューの販売停止に追い込まれた。スーパーの店頭でも品薄状態が続いている。
農林水産省によると、今シーズンの農場での殺処分対象数は全国で計約1502万羽となり、過去最多を更新した。このうち採卵鶏が計約1386万羽を占め、全国で飼育されている約1億3729万羽(昨年年2月時点)の1割を超えた。
「物価の優等生」といわれる卵だが、JA全農たまごが公表する鶏卵の卸売価格(東京地区、Mサイズ基準値)は2日時点で1キロ当たり335円を付け、統計が公表されている1993年以降で過去最高となった。大阪地区(同)も340円、名古屋地区(同)は350円と高騰している。
マクドナルドでは8日から期間限定で「てりたま」シリーズを発売するが、「卵の供給状況により販売を一時休止する場合がある」とした。例年販売していた朝マックの「てりたまマフィン」は販売を見送った。
崎陽軒は「炒飯弁当」の発売を停止、チャーハン製品のレシピも卵を減らして長ネギやチャーシューを増やすとした。
餃子の王将は「一部商品の販売を休止する場合がある」と発表した。
丸亀製麺は2月時点で「とろ玉うどん」など一部商品が「品切れの見込み」とし、バーミヤンでは「天津チャーハン」などの販売を休止した。
スーパーの店頭価格も値上がりしているが、品不足のため売り切れる店舗も少なくない。
殺処分後、農場で新たな鶏を導入するまで通常3~7カ月ほどかかるため、卵の供給の回復には少なくとも半年かかるとみられている。野村哲郎農相は2月28日の記者会見で「(供給が安定するには)半年、あるいは1年近くかかるのかもしれない」と述べた。