芸能界などでのセクシャルハラスメントの撲滅などを目指す「演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会」代表で舞台俳優の女性が、民事訴訟で代理人を依頼した同会元顧問の馬奈木厳太郎(いずたろう)弁護士(第二東京弁護士会)からセクハラ行為をされたとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。提訴は2日付。
訴えたのは同会代表の知乃(ちの)さん(25)。平成29年12月に演出家の男性から受けたセクハラ被害をツイッター上で告発し、その後男性との間で和解が成立。30年に同会を立ち上げた。
訴状によると、令和元年9月~4年1月、演劇関係者との会食や、知乃さんが抱える名誉毀損(きそん)訴訟の打ち合わせなどの名目で馬奈木氏に呼び出され、身体を触られるなどのセクハラ行為が継続。馬奈木氏は訴訟代理人の立場を利用して性行為を強要し、精神的苦痛を受けたとしている。
3日、東京都内で記者会見した知乃さんは「身体を触られるのはずっと嫌だったが、年齢の差や演劇界での馬奈木氏の大きな立場があり、性加害だと自覚しづらかった。二度と弁護士として活動してほしくない」と訴えた。
馬奈木氏は1日、自身のブログ上に文書を公表し、一連のセクハラ行為を認めた上で「自分本位な振る舞いの結果、深く傷つけ、苦しめてしまいました。卑劣な、人として許されない行為です」と謝罪した。
昨年末に知乃さんから弁護士会に懲戒請求があり、関係を全く望んでいなかったことなどを初めて知ったといい、今後は被害回復に努めるとともにハラスメント講習の講師などはしないと説明している。
馬奈木氏は東京電力福島第1原発事故の避難者らによる集団訴訟の弁護団事務局長も務めていたが、昨年12月に体調不良を理由に辞任を申し出ていた。