金塊を換金した直後の男性らに催涙スプレーを吹き掛け、現金を奪おうとしたとして、強盗致傷罪に問われ、1審の無罪判決を破棄された伊藤仁(ひとし)被告(51)の差し戻し裁判員裁判の判決公判が3日、大阪地裁で開かれた。御山(みやま)真理子裁判長は一転して有罪と認定し、懲役9年(求刑懲役15年)を言い渡した。
被告は「一切関与していない」と無罪を主張。実行役と共謀したといえるかが争点だった。
判決で御山裁判長は、事件で使われた催涙スプレーが、被告の関係先近くの宅配営業所から共犯の男に送られ、事件直後にも別の共犯の男と連絡を取り合っていたことを踏まえ、「偶然とするのは困難。被告の存在なくして犯行は成立しない」と、事件の指示役だったと認定した。
差し戻し前の1審大阪地裁は、捜査段階で検察官に被告の関与をうかがわせる説明をした人物が、法廷ではその説明を覆したため、無罪を言い渡した。
一方、大阪高裁は、この人物は「被告を暴力団関係者と認識し、目の前で不利な証言をするのがためらわれた」と指摘。検察官への説明を重んじて、無罪判決を破棄していた。