どんでんの見立てを狂わせるとは―。阪神4年目の〝眠れる大砲〟井上広大外野手(21)が今度こその覚醒で開幕スタメンの座を射止めようとしている。
大山、佐藤輝にも負けない飛距離を誇るも、昨季1軍では2試合5打数無安打とサッパリだった井上。今春キャンプの対外試合では怒濤の3本塁打を放ち、岡田彰布監督(65)から野手MVPに選ばれて、「自分にとっても自信になる。(今は)結果とアピールの2つが大事。自分のできるプレーを最大限に出していきたい」と話す。
辛口の指揮官も「一皮むけてやっと何かをつかんだ感じ。徐々に(課題を)克服してきている。開幕スタメン? 外国人次第もあるけど、この調子でずっとやってくれたら十分あるよ」と高い評価。ただ、開幕までまだ1カ月近いこの時期、待望の高卒レギュラーがついに誕生か―という話は阪神では毎度おなじみ。オープン戦を経て次第に落ちこぼれて…というパターンを何十年も繰り返してきたわけだが、今年の井上はちょっと違う。
実は今キャンプ中、岡田監督が早くから2軍へ降格させようと〝当たり〟を付けていたのが、何を隠そう井上だったという。「結果的に監督の一番の〝嬉しい誤算〟となったのが、まさに井上の覚醒。もとは下(2軍)に行かす何人かの候補の一人だった」(親しいOB)。百戦錬磨の指揮官の予測を覆すほどの急成長を遂げた井上なら、これまで若虎たちが跳ね返され続けた壁を越えられると信じたい。 (岩﨑正範)