長友が大谷を目撃したのは、まだソフトバンク担当時代。「世界の二刀流」も入団まもない時期で、制球難で自滅をするケースも目立っていたという。そこからの急成長は、長友もあきれるほど。「頼りなさそう」だった男が、「是が非でも見に行きたい」選手へと変貌を遂げているのだから。
名古屋での2連戦後、侍ジャパンは大阪に舞台を移して阪神戦(6日)、オリックス戦(7日)を行い、9日の開幕に備える。先日のこのコーナーでも紹介したが、阪神が侍ジャパンと戦うのだ。
読者の方がご存じかもしれないが、この手の試合に阪神は強い。メジャー球団や各国代表によく勝つのだ。
あれは2004年3月。ヤンキースとデビルレイズがメジャー開幕戦を日本で行った。直前の練習相手として白羽の矢が立ったのが、巨人、阪神の両伝統球団だった。
3月29日、阪神はヤンキースと対戦。ヤンキース打線は1番ジーター、2番松井秀喜、3番A・ロッド、4番ジアンビ…。どう考えても本気の打線。対する阪神は今岡、赤星、金本、矢野ら03年リーグV戦士の名前がズラリ。ルーキー鳥谷もスタメンだった。監督は、就任直後の岡田彰布。第1次政権だ。試合は11-7の乱打戦の末に阪神が勝ってしまう。
東京ドームの記者席で自称メジャー通のベテラン記者が叫んでいた。
「おい、大阪のトラ番記者! 『阪神世界一』なんて見出しの、恥ずかしい新聞は作らないでくれよ。相手は途中から主力をベンチに下げているんだから。本気じゃないんだから。頼むよ!」
上から目線(?)で各社のトラ番キャップにお願いしていた。そして、翌日の紙面は…
「阪神世界一」
当然だ。恥ずかしいなんて思ってもいない。1面でデカデカと勝利を祝った。ことしも、日本代表より強いナニワのタイガースをお見せしましょうか。監督は「世界一」の時と同じ、岡田監督ですから。