ロシアによるウクライナ侵略から1年を迎えた。産経新聞中国総局は北京市中心部の大使館街の一角にあり、通勤途中に通る欧米諸国の大使館にはウクライナ国旗や「ウクライナを支持する」といったスローガンが掲げられている。しかし、この1年、中国の普通の街角でウクライナ国旗や支援の言葉を見ることはなく、交流サイト(SNS)では「プーチン露大統領を支持する」といったロシア寄りの投稿が目立った。
中国政府は、侵略を支持も非難もせずに「中立」の立場にあると主張してきたが、米国との対立を前にロシアとの連携を外交政策の主要な軸として連携を強化している。ウクライナのゼレンスキー大統領は習近平国家主席との「直接対話」を模索してきたが、今も実現していない。習氏は、プーチン氏とは対面やオンラインで会談を重ねており、両国への対応には差があると言わざるを得ない。
侵略前、中国はウクライナとも密接な関係を築いていた。昨年、中国に住むあるウクライナ人は「侵略に関して、われわれの国に対する中国の対応は冷たいと感じる」とため息をついていた。中国は「戦後」を見据えて「建設的な役割を果たしたい」と表明しているが、「戦中」の言動をウクライナの人々はきっと忘れないのではないか。(三塚聖平)