庶民の家計に物価高は大きな負担になっている。1月の消費者物価指数は4・3%(前年同月比)の上昇となり、先月の4・0%から拡大した。内訳をみると、さまざまな食料品の値上がりに加えて、中でも電気代やガス代の増加が目立つ。電気代は昨年の同じ月に比べて20%以上アップ、さらに都市ガス代に至っては30%を超す負担増だ。
最近、スーパーに行くと、卵の売り切れに気がつく。鳥インフルエンザの影響で鶏卵の入荷が不足しているからだ。またニワトリの餌になる飼料の輸入価格の上昇や、やはり光熱費の負担増もあり、卵1パックの値段は去年に比べると平均2割も高い。
卵と同じように「物価の優等生」といわれるもやしも値段が上がっている。私の母親は若いころに苦学して、おカネがないと安くて栄養価のあるもやしをしばしば食べてやりくりしていた。そんな話が過去のものとなりかねない。
岸田文雄政権はエネルギー価格の抑制策として6兆円規模の対策を打った。この対策は、昨年に生じた電気・ガス代のコスト増の半分近くを軽減するものになる(慶應大学の野村浩二教授のコスト推計に基づく)。政府の見積もりでは、標準世帯で年間4万5000円ほどの光熱費の削減になる。かなりの軽減措置だが、喜んでばかりはいられない。