日本最古の国営牧場があったとされ「馬の聖地」として知られる滋賀県近江八幡市の賀茂神社。その近くにある「御猟野乃杜(みかりののもり)牧場」では、種の存続の危機にある日本の在来馬が順調に育っている。2月25、26日には同牧場で「甲冑装束騎乗会」が関西で初めて開かれ、筋肉質でたくましい在来馬に乗った騎馬武者たちによる合戦風景が再現された。
かつて在来馬は農業や運搬に利用され、生活に欠かせない存在だったが、明治時代以降、軍用の大型馬を生産するなどの必要性から西洋の大型馬との交配が進んだことで、純血の在来馬はほぼ途絶えたとされる。
そんな中、在来馬の代表格である「木曽馬」や「南部馬」の血を多く残す馬を子々孫々残していく取り組みも一部で進められ、山梨県鳴沢村の紅葉台木曽馬牧場では和式馬術の探求を行ってきた。そこで活動していた磯部育実さん(38)が平成30年5月にオープンしたのが御猟野乃杜牧場だ。
オープン当初は4頭だった在来馬は現在は9頭に。乗馬体験や流鏑馬(やぶさめ)スクールなどを通じて関西でも在来馬の認知がじわりと広がり、紅葉台木曽馬牧場で3年前に始まった甲冑装束騎乗会が、御猟野乃杜牧場でも行われる運びとなった。