【カイロ=佐藤貴生】イスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突が激化しつつある。イスラエル軍が22日、ヨルダン川西岸のナブルスで実施した武装勢力に対する急襲作戦で多数の死傷者が出たのを受け、パレスチナ側はロケット弾を発射して報復。イスラエル軍は23日、これに空爆で応戦した。本格的な軍事衝突への懸念が高まり、国連などが調停に乗り出した。
イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)などによると、イスラエル軍がナブルスで行った作戦ではパレスチナ人11人が死亡し、百人以上が負傷した。軍は武装勢力メンバーを急襲して拘束するのが作戦の目的だったとしている。
これを受け、パレスチナ自治区ガザからイスラエル領にロケット弾6発が発射された。軍は防空システム「アイアンドーム」で5発を迎撃し、残る1発は空き地に落下した。
23日にはイスラエル軍がガザを空爆。ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの武器庫などが標的だったとみられる。
国連で中東を担当するウェネスランド特使がハマス幹部と面会するためガザを訪れたほか、エジプトも事態の沈静化に向け調停を進めている。
イスラエルでは昨年12月末、対パレスチナ強硬派のネタニヤフ元首相が主導する連立政権が発足し、同氏は首相に復帰した。連立には極右やユダヤ教超正統派の政党が参加しており、パレスチナ側との緊張が高まるとの見方が出ていた。