公正取引委員会は24日、極端に値下げされたスマートフォン「1円スマホ」に関する緊急調査の報告書をとりまとめ、独占禁止法が禁じる不当廉売にあたる可能性があるとの考えを示した。携帯大手は端末価格の赤字を通信料の収入で補填(ほてん)しているため、公取委は通信料の下げ止まりや引き上げにつながることに懸念を示し、取引実態の監視を強化するとした。
調査はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯大手や販売代理店などが対象。報告書によると、携帯大手は代理店に対し、他社からの乗り換え契約数のノルマを設定しており、代理店は「1円スマホ」といった顧客に大きな訴求力があるキャンペーンを打ち出すことで、契約数の増加につなげていた。
代理店は収入のほとんどを携帯大手に依存している。携帯大手が取引上の地位を利用して過度なノルマを設定することは、独禁法上の優越的地位の乱用にあたる可能性があるとし、公取委は適正な取引が行われているか監視を強化する。
総務省は携帯電話の回線契約と端末のセット販売で端末の値引きを2万円までと法令で規制しているが、端末単体での値引き額の上限は定めていない。今回の調査で「端末と通信の分離」の是正が進んでいない実態が浮き彫りになった。(浅上あゆみ)