ベテラン記者コラム(414)

西郷真央にジャンボ尾崎が太鼓判、シンガポールのプレーに注目

サンスポ
尾崎将司
尾崎将司

1月に76歳となった男子ゴルフの尾崎将司が昨季終盤に極度の不調に陥ったまな弟子の西郷真央について、「間違いなく良くなっている」と復調に太鼓判を押した。今月11日に公開した「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー セレクションISPS」での発言。国内男子ツアー通算94勝のレジェンド、ジャンボさんが言うのだから確かなのだろう。

西郷は昨季の国内ツアー最終戦「JLPGAツアー選手権リコー杯」でまさかの最下位に沈んだ。パー72のコースで4日間で3度も80台をたたき、大会ワーストの通算35オーバー。ティーショットがとにかく右に左に乱れた。フェアウエアーキープ率はわずか30・36%。ドライバーを封印する場面もたびたびあったが、どのクラブを握っても良くなる気配はなかった。最終日に取材したときには「日本女子オープンのころからティーショットに不安を感じていた。今週は何かをつかみたいと思ったが、振るのが怖かった」と絞り出すように話していた。

昨季は開幕から出場10試合でツアー史上最速の5勝を挙げた。5月には自身の持つツアー記録の連続アンダーパー試合を30試合に伸ばすなど、終盤まで同い年の山下美夢有と年間女王の座を争った。メルセデスランキングは2位。築き上げた自信は最後の最後で砕け散っただろう。その2週間後のシニア、男子、女子の各ツアーの団体対抗戦「3ツアーズ」は欠場。理由は公表されなかったが、病気や故障による体調不良ではなく〝スコア不良〟であったことは容易に推測できる。トッププロが80台を打つなんて異常事態。イップス寸前の状態ではないかと危惧していた。

それまで普通にできていたことが、突然できなくなるイップスは精神的なものが原因といわれる。ジャンボさんもパターイップスに陥った時期があり、「体の動きを止めると駄目なんだ」とグリーンに上がるとマークもせずに、すぐにパットをしていたことがある。その後、少しだけグリーン上で時間をかけるようになったときに質問したら、苦笑するジャンボさんに「バカヤロー、その言葉(イップス)は出すな。思い出すだろう」と怒られた。ゴルファーのメンタルは実に繊細だ。

西郷は今季の初戦に、昨年大会でツアー初優勝した国内ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」(3月2~5日、沖縄)ではなく、同じ週に開催される米ツアー「HSBC女子世界選手権」(シンガポール)を選んだ。ツアー規定の「優勝者の翌年度出場義務」に抵触し、罰金100万円を払っての選択。13日にはマネジメント会社を通じて出したコメントでは「苦渋の決断でした」とした。

試合に集中するために日本を離れ、米ツアーを選んだのかもしれない。4月のメジャー今季初戦「シェブロン選手権」の出場を目指し、世界ランキングを上げるための選択だったかもしれない。「苦渋の決断」の是非を問うつもりはないが、翌週の「明治安田生命レディス」も欠場することに一抹の不安が残る。症状は完治しているのか。良いショット、良いスコアが一番の処方箋。西郷を最も知るジャンボさんの言葉を信じて、シンガポールでのプレーに注目したい。(臼杵孝志)

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