新型コロナウイルス感染症で話題になった「血栓」。コロナでできるメカニズムはまだ解明されていないが、心疾患や脳血管疾患など重篤な病気を引き起こすことは有名だ。寒い時期に増えるこれらの病気と「血液をサラサラにする薬」の注意点など「専門医に聞く 血栓最新事情」を5回に分けて解説する。
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日本人の死因トップは悪性新生物(がん)で、26・5%。2位は心疾患(14・9%)、3位が老衰(10・6%)で4位が脳血管疾患(7・3%)である(令和3年『厚生労働省人口動態統計』)。2位と4位を血管の病気として合算すると、死因の第2位になる(22・2%)。これらの血管の病気の多くは「血栓」が原因となっている。
「少し古いのですが、2015年の厚生労働省の患者調査によると、脳梗塞の患者さんは78万6000人、虚血性心疾患の患者さんは72万人、計150万6000人。この人たちの多くは再発予防に抗血栓薬を飲んでいると推察されます。ちなみにがん患者は178万2000人です」
こう話すのは、高齢者の転倒・転落による頭部外傷についての啓発活動に力を入れている国際医療福祉大学医学部脳神経外科学教授の末廣栄一医師だ。