★絶品必食編
今年の鍋の季節も終盤に突入した。シーズン終盤には、好奇心を刺激するような鍋で次なる季節を迎えるべく〝心味体〟を調えたい。
昨年、新語・流行語大賞にノミネートされた「ガチ中華」。その象徴とも言える店が、本連載でも時折登場する〝味坊集団〟の店舗であり、中でも鍋といえば東京・湯島にある「味坊鉄鍋荘」である。
数年前、埼玉県西川口で居住する中国人向けの中国料理店が激増した時期があったが、味坊鉄鍋荘は流行に先駆けて、中国東北地方の鉄鍋料理を提供していた。テーブルは中央がセメント敷きで鉄鍋がすっぽり入る穴が空いていて、下からガスコンロで炊いていく仕組みとなっている。
同店を訪れた人のほぼ全員が食べるのが「ホンムンヤンロウ」、ラム肉と大根の醤油炒め煮だ。
ラム肉の肩ロースを大根と炒め、鶏の出汁でじっくりと煮込んだ料理でオーナーの梁宝璋さんの故郷、黒竜江省の名物料理だ。セットされた鍋にフタがされ、煮込まれる間にどんどんおいしくなる。