「選挙でよく、『オレは総理になる』なんて言っているヤツがいるが、一体、てめえに何ができるというんだ。そんなヒマがあるなら、選挙区をとことん歩け。歩いて初めて、政治家として困っている選挙区のために、自分がいま一番何をやらなければならないかが分かる。徹底的に勉強してみることだ。気持ちが高ぶる仕事ができなくて、ナニが政治、代議士かッ」
絶大な権力を保持する一方で、国民的人気の高かった田中角栄元首相は、よく若い田中派議員をこう一喝していたものだった。
翻って、昨今の永田町政治はダイナミズムが欠け、低迷ぶりは目を覆うばかりである。
例えば、岸田文雄政権が看板としている「次元の異なる少子化対策」でも、岸田首相は自民党執行部にその目玉として、児童手当の所得制限撤廃の検討を指示した。
自民党は、旧民主党政権が所得制限撤廃を推進しようとした際、「愚か者」「バラマキ」と痛烈批判をしていた。ここに来て、一転、茂木敏充幹事長が1月末の代表質問で、所得制限撤廃を唐突に打ち出したものだった。