問診票のみの情報から片頭痛など5つの頭痛の病名を高い精度で判定できる人工知能(AI)を開発したと、糸魚川総合病院などの研究グループが発表した。国民のおよそ4人に1人が頭痛の悩みを抱える一方、専門医不足や診断に時間がかかるといった理由で十分な医療の提供が困難となっている頭痛診療。非専門医でも短時間で患者を適正な診断・治療へと導けるサポート機能として、AIの実用化が期待される。
非専門医でもAIの補助で正解率8割超に
AIが診断できる頭痛は片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、その他の「一次性頭痛」、脳血管障害などの「二次性頭痛」の5つ。構築にあたっては、富永病院頭痛センター (大阪府大阪市)の4000人の匿名化された問診データと、頭痛専門医が診断した5種類の頭痛に該当する2800人のデータをAIの学習材料として活用。17項目からなる問診票の回答を入力すると、それに基づいて5種類の診断の確率を提示する仕組みになっている。
1200人のデータを用いてAIの精度を検証したところ、正解率は76%。病気でない人が正しく病気でないと判断される確率を示す「特異度」は92%という結果だった。さらにAIによる診断サポートの有効性を検証するため、非専門医5人が50人の頭痛患者を問診票にもとづいて診断を行ったところ、AIなしで46%だった正解率がAIを用いることで83%に向上。とくに専門的治療が必要な片頭痛と三叉神経・自律神経性頭痛のAIによる診断精度は100%という結果を示した。