13日に85歳で亡くなった漫画家の松本零士さんは、大阪でも足跡を残していた。子供たちの感性や創造力を育む目的で建てられた堺市の屋内遊び場施設の館長を10年以上にわたって務め、子供たちに夢を抱くことの大切さを説いた。
施設は「堺市立ビッグバン」(同市南区)。もとは平成11年6月に「大阪府立大型児童館ビッグバン」として開館し、松本さんは22年まで館長を、同年から令和3年6月まで名誉館長を務めた。外観のデザインは、宇宙などを意識した松本さんのコンセプトを基に設計されたという。
関係者によると、施設名のビッグバンには「夢を爆発させてほしい」という松本さんの思いが込められている。「時間は決して夢を裏切らない」。松本さんは子供たちとの交流でこう語っていたという。
橋下徹大阪府知事の時代に府内の公共施設の存廃が議論され、この施設も見直しの対象になりかけた。当時を知る職員によると、松本さんは視察に訪れた橋下氏に丁寧に説明しながら案内していた。
岡本俊哉館長(61)は「松本さんの思いを引き継いでいきたい」と話した。施設での追悼の展示も検討しているという。