カンテレ制作の「罠の戦争」(フジテレビ系)が、いよいよ面白くなってきた。演技力で定評がある草彅剛の復讐ドラマは、見えない敵が仕掛ける罠をかわしながら、じりじり追い詰めていく執念が惹きつける。
鷲津亨(草彅)は、息子を重体に陥れた犯人を突き止め、隠蔽する勢力に一歩もひるまない。仕事人間の鷲津が、家族のために立ち上がる姿に、妻・可南子(井川遥)も身を挺して援軍となる。
舞台は永田町に移り、犯人を突き止めるため議員秘書から国会議員となった鷲津が、国家ぐるみの隠蔽にどう挑むか。実に時宜を得たテーマだ。次回、鷲津の前に立ちふさがることになりそうなのが、選挙では鷲津の後ろ盾だったはずの与党・民政党の鶴巻幹事長(岸部一徳)。実に老獪で、腹黒さがにじみ出た演技にワクワクする。
この草彅、井川、そしてベテラン岸部の3人に共通するのが、実はそれほど役作りをしていないと思わせる自然体の演技。アイドル、モデル、アーティストとして名を成した3人には俳優以前に自身が醸し出す独特の憂いがある。懸命な演技に「役が降りてくる」のだろう。過剰さを排した演出が、ドラマをよりリアルなものにしている。