日本商工会議所の小林健会頭は14日の記者会見で、日本銀行の次期総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を充てる政府の人事案を巡り「理屈では処理しきれない政治的なもの(への対処)も含め、副総裁候補とのトライアングルで実体経済と向き合った政策運営、マーケットとの十分な対話をしてほしい」と要望した上で、植田氏の手腕に期待感を示した。
日銀と財務省出身者が交代で総裁に就く「たすき掛け人事」の慣行を破る学者出身者の起用に関しては「違った視点からモノが見られるだろうし、新しい考え方があるかもしれない」と評価。日銀総裁には実行力と胆力、調整力が必要になるとの持論を強調した。
日銀が掲げる2%の物価上昇目標に関しては「2%の旗を今降ろす必要はなく、成長戦略の中での達成に意味がある」と指摘。黒田東彦(はるひこ)総裁の下で約10年に及んだ大規模な金融緩和策の継続も「当面は必要」と述べ、引き締め方向への政策の急転換には否定的な考えを示した。
一方で「超緩和政策はどこかで見直さねばならない」として、これまでの金融政策の検証と「出口」戦略への取り組みを求めた。