政府は14日、日本銀行の次期総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を充てる人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。日銀は、日本の中央銀行として物価や金融システムの安定、紙幣(日本銀行券)の発行などを担い、経済を支えている。その最高責任者である総裁はどのような役割を果たしているのか。
Q 総裁はどんな仕事をしているのか
A 最大の仕事は金融政策の決定と運営だ。1~2カ月に1度、総裁、副総裁、審議委員の計9人が出席して開かれる金融政策決定会合で議論を主導し、当面の金融政策を決める。出席者の間で賛否が同数に別れた場合は最終判断を下す権限もある。金融や経済に関する豊かな知識はもちろん、議論をまとめる能力や決断力も求められる。
Q 政府との連携でも重要な役割を果たす
A 日銀は独立した金融政策運営が認められているが、経済の安定のためには財政政策を担う政府との連携も重要となる。首相とは定期的にコミュニケーションを取り、互いの政策に注文をつけることもある。
Q 日本の金融政策のスポークスマンでもある
A 決定会合後の記者会見はもちろん、講演や国会答弁を通じて広く金融政策の方針や効果を説明する。その発言内容は国内外の金融当局や投資家が注視しており、為替や株式、債券市場が大きく動くこともある。現在の黒田東彦(はるひこ)総裁は昨年の1年間で30回以上も国会に出席し、情報発信を行った。
Q かなりの激務だ
A 国際会議などに出席するため海外出張も多いほか、日銀が抱える4千人以上の職員の労務管理などにも気を配る必要がある。充実した体力や気力が要求される仕事だ。(根本和哉)