内閣府が14日発表した令和4年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動を除く実質で前期比0・2%増、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は0・6%増で、2四半期ぶりのプラス成長に転じた。海外経済の減速懸念などから企業の設備投資が減少したものの、訪日外国人客(インバウンド)需要の急回復などが成長を下支えした。
新型コロナウイルスの水際対策緩和による入国者数の上限が撤廃され、ビザなし渡航が再開したほか、国内旅行向け観光振興策の「全国旅行支援」が始まり、外食や宿泊などのサービス業などが好調だった。
幅広い品目の値上げラッシュも重なり、食料品を買い控える動きもみられたが、GDPの5割以上を占める個人消費は前期比0・5%増と3四半期連続のプラスとなった。
インバウンド消費がカウントされる輸出も1・4%増だった。半導体不足による供給制約の緩和で自動車輸出が増えたことも追い風となった。一方、輸入は0・4%減。7~9月期に急増した海外に支払う広告費が減少した。
企業の設備投資は0・5%減と3四半期ぶりのマイナス。半導体製造装置の減少などが響いた。海外経済の減速懸念も影響したとみられる。
より景気実感に近い名目GDPは1・3%増、年率換算で5・2%増だった。
今年はインバウンド需要のさらなる回復が見込まれる一方、海外経済の減速から輸出が下振れし、日本経済の成長が鈍化する恐れもある。
後藤茂之経済再生担当相は「下振れリスクに対応しつつ、しっかりと経済のかじ取りをして、緩やかに持ち直していく景気をフォローしていきたい」と強調。物価上昇を上回る賃上げの実現に向け、価格転嫁対策の強化など中小企業支援に取り組むとしている。